みなさん、こんにちは。Lilcono(リルコノ)ライターの鈴木です。
今、駅などの広告でよく見かける「バルテュス展」。
物憂げな表情の少女が両腕を頭の上で組み、
片足を立てている持つ絵、といえば何となく想像がつくでしょうか。
今回の広告でバルテュスという名前を初めて見たという方も多いようですが
実は、非常に日本と密接な関係を持っていた画家だということをご存知ですか?
日本とバルテュスの関係や今回の展示の見所を一番好きな画家は誰?と言われれば
「バルテュス!」と即答する筆者がお届けしたいと思います。
ピカソに「20世紀最後の巨匠」とまで言わせた画家
1908年にパリで生まれたバルテュスは幼少の頃から世界中の美術に触れ、特に東洋への憧れを抱いていました。バルテュスが初めて絵本を描いたのは11歳の時。愛猫である「ミツ」と自身の交流を描いた愛らしい物語です。
その才覚にいち早く気づいたバルテュスの母の知人は2年後に「ミツ」を出版します。
その後、ルーヴル美術館で模写に励むなど独学で絵画を学び、
ピカソをして「20世紀最後の巨匠」とまで言わしめました。
誤解を生んだ少女の裸体というモチーフ
バルテュスは画家としてデビューしますが、その独自性と扇情的な作風から当時、賛否両論を呼びました。また彼が少女の裸体を「最上の美」として晩年までモチーフとして扱ったことが
現在まで性的な視点から描いていたのではないかとう誤解を受けています。
しかし、実際に彼が描いた少女の裸体を目にすれば、
少女から大人に変わる一瞬の美、神秘性を感じ取ることが出来ます。
西洋の「腐りきるまでが美しい」といった退廃主義と
日本の「一瞬の儚いもの・静かなもの」を良しとする侘び寂びの世界観。
それぞれの良さを追求した結果、少女というモチーフに辿りついたのでは無いでしょうか。
バルテュスと日本の関係性って?
バルテュスは一度結婚し一児をもうけていますが、その後離婚。1962年、バルテュスが来日した際、
当時二十歳だった節子さんを見初めて1967年に再婚しました。
年齢差は34歳というから驚きです。
まるで谷崎純一郎の小説「痴人の愛」を地で行くような展開ですね。
自身も着物を好み普段から着用し、節子さんにも着物を着るように進言しました。
今回の展示にはバルテュスが愛用していた着物・浴衣が展示されています。
Lilcono読者にはあまりピンと来ないかも知れませんが
今は亡き勝新太郎さんが贈った着物もありました。
今回の展示の見所は再現されたアトリエ!
日本初公開となる「夢見るテレーゼ」や若き頃のデッサンを含む、
初期から晩年までの作品を網羅することにより
彼の持つ孤高の世界がより深く理解できる今回の展示。
今後、日本にこれだけの作品数が集まることは無いのではないでしょうか。
バルテュスが晩年を過ごしたスイスの
グラン・シャレのアトリエの完全再現も見逃せません。
絵具の1つ1つや静かに差し込む光…。
今は亡き画家の息づかいが今にも聞こえてきそうです。
普段、あまり絵画を見る事のない方も
日本にゆかりある画家ならば興味が湧きやすい事と思います。
今回の展示のオフィシャルホームページはこちら。
http://balthus2014.jp/
展示は上野の東京都美術館にて、6月22日(日)まで。
是非、この機会に美術館デビューしてみてはどうでしょう?
この記事を書いた人
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フリーランスライター。千葉県在住の30歳B型。小学生から不登校となり本と映画だけが友達という生粋のお一人様。
広告代理店に勤務後フリーに転身。若い女性に向けた美容・ファッション・健康のコラムを得意とする一方、作詞も手掛ける。
無類の子供好きで絵本を出版することが最終目標。
休みの日は古本屋・アンティークショップ巡りをしたり、ペットのうさぎと遊んだりと、のんびり生活中。
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