リルコノ
2014/05/05 18:05

今月のArt ♥ Eye:“他力本願”が報われるときがきた!?「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」展

今月のArt ♥ Eye:“他力本願”が報われるときがきた!?「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」展


こんにちは、Lilcono(リルコノ)ライターのmiho +です。

Art ♥ Eye vol.2は、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の
「幸福はぼくを見つけてくれるかな?─ 石川コレクション(岡山)からの10作家」展。

このところ小さなギャラリーを含めおもしろい企画が目白押しで、
どちらを紹介しようか悩みましたが・・・

入場直後から迫ってくる衝撃と観賞後のやわらかな気分がなんとも素晴らしく、
今回はこちらに決めました。

タイトルからしてキャッチーですしね!
長めに開催されているし、ぜひ一度は足を運んでみて。



Sponsored Link


ここには、なにがあるの?

他力本願

上)小泉明郎 《僕の声はきっとあなたに届いている(シングル・スクリーン・ヴァージョン)》 ヴィデオ 2009 Courtesy Annet Gelink Gallery, Amsterdam
左下)ライアン・ガンダー 《マグナス・オパス》 アニマトロニクス、センサー、コンピュータ 2013 ©Ryan Gander, Courtesy the artist and TARO NASU photo: Martin Argyroglo
左右)リアム・ギリック 《任意空間》 テキスト、ビニール 2004 ©Liam Gillick, Courtesy the artist and TARO NASU photo: KIOKU Keizo


たとえばこんな作品たちです。

左下の作品は、わたしたちの動きに合わせて目が動くんですよ!
鑑賞者の動きを感知して、“鑑賞者を見る”作品です。

いつもと逆の立場に置かれるようで、
なんとも不思議などこかこそばゆい感覚に導かれます。

この3点のほかも、ポップで身近なテイストの作品ばかりが並んでいるのですが、それぞれただ「おもしろい」とか「かわいい」だけではなく、
作家のメッセージが分かりやすく伝わってくるのもいいところ。

たとえば上の映像作品は中盤に種明かしがあるのですが、
そんな“実は”を知るとほろっと泣けてたり・・・。

それぞれに振りかけられたメッセージと、
身近さを兼ね備えたアートがあふれています。

ところで、岡山市に美術館を新設しようという動きがあるってご存じですか?

それを仕掛けようとしているのが、今回の企画の中心人物・石川康晴氏。

彼は、アパレルブランドearth music&ecologyなどを運営する
クロスカンパニー代表取締役社長。

ふるさとを活性化したいとの思いから美術館の設立を決意し、
個人資産でアート作品の収集を進めているのだそう。

今回はそんな「石川コレクション」の中から、
国際的に注目を集める10組のアーティストの作品に選りすぐって
展示しているんです。

つまり、これからできる美術館の作品を、
先駆けてイイトコドリできる展示でもあるということ!



ずばり見どころは?

4


《無題》1981-2001 2003年のヴェネチア・ビエンナーレでの展示風景
© Peter Fischli David Weiss, Zürich 2014, Courtesy Sprüth Magers Berlin London, Matthew Marks Gallery, New York, Galerie Eva Presenhuber, Zürich


なんと言っても、第50回ヴェネチア・ヴィエンナーレにも出展されたこの作品。

真っ暗な空間に、誰かのつぶやきのような、
心の叫びのような、たくさんの言葉が映し出されます、
それはもう、夜空で瞬く流れ星のように。

たとえば「銀河はどこへ向かうのだろう?」、
「この町を仕切ってるのはどこのどいつだ?」など。

素朴でありながら人生の中心に位置していそうなそんな言葉たちは、
灯るたびに見えないなにかを照らすよう。

心の中で残像の消えないフレーズがあったなら、
それはきっと、今の自分を図る手がかりになるはず。



今月のArt ♥ Eye:他力本願な人が報われるってホント?

この展示の「ごあいさつ」にも、
まるでアートのような素敵な出会いがありました。

「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」は、
本展の出品作家ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスの作品から
引用しました。

幸福とは自分で見つけるもの、誰もがそう考えるでしょう。

しかしここには幸福が私たちを見つけるかもしれないという
視点の変換がみられます。

・・・誰の心にも浮かぶ小さな問いかけをそのままにせず、
何気ない日常をさまざまな角度から見つめることで
新たな世界の見方は開けるのではないでしょうか。

「わたしが幸福を」見つけたら、幸福と一緒に達成感も得られる。
でも逆に、「幸福がわたしを見つけたのなら、
予期せぬ幸せなサプライズに出会える。」

つまり、“他力本願”でしか出会えないものも、確実にあるのですね。

これって日常だけの話ではないと思うのです。アートも同じ。

「理解しよう」とか「おもしろさを感じよう」と意識するのは
“自力本願”と同じで素晴らしいことなのだけど、
むしろ立場を逆にしてみると、もっと素敵な幸せに出会えるかも。

ちなみに、文頭に書いた
“入場直後から迫ってくる衝撃”ですが、
わたしにとって今回の幸福な“他力本願”のギフトはここにあったように思う。

心を真っ新にしたとき、偶然に出会える。

“あなた”と“このアート”の関係にしかない幸福に、
見つけてもらいに行きませんか。

「幸福はぼくを見つけてくれるかな?─ 石川コレクション(岡山)からの10作家

会期:〜6月29日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー3Fギャラリー1、2
開館時間:11:00〜19:00(金・土〜20:00、最終入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
入場料:1000円
http://www.operacity.jp/ag/exh163/

この記事を書いた人

miho+
miho+
女性誌の編集から現在はフリーの編集/ライターとして活動。

女性誌時代には、取材300回(もっとかな?)、離島取材4回、
シェフから俳優までインタビューは50本以上。
・・・それでも緊張やウッカリの抜けないおとぼけキャラです。

モットーは「見えないものを大切に」きっと誰もがもっている、
日々の中に潜んだタカラモノが見つかるよう、日常を彩るヒントをお届けします。
Sponsored Link

こちらの記事も人気です。

Sponsored Link