リルコノ
2018/04/02 07:04

東海道四谷怪談 観劇レポート

Lilcono読者の皆様、こんばんは、スルメ王子です。

今回は私が好きな俳優さんがたくさん所属しており、もはや事務所推しともいえる砂岡事務所プロデュース『東海道四谷怪談』の観劇レポートをお届けします!

「うらめしや」の台詞と白い着流し、片方の目が腫れた女性の幽霊でお馴染みのお岩さんの物語「東海道四谷怪談」
今作は、そんな四世鶴屋南北が描いた怪談の傑作を、オール男性キャストで古典の言い回しや歌舞伎の演出を取り入れた舞台です。
和装と洋装、2パターンでの上映があり、和装版を観劇してきました。
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脚本:加納幸和(花組芝居)
演出:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
出演:平野良、白又敦、桑野晃輔、北村健人、今川碧海、白瀬裕大、水瀬智哉、田渕法明、十倉有貴、なだぎ武、植本純米(植本潤改メ)


あらすじ

主人公、民谷伊右衛門は、義父の四谷左門に娘・お岩との復縁を迫るが、伊右衛門の公金横領という過去を知る左門は復縁を許さない。
一方、お岩の妹・お袖は生活のために勤めた按摩宅悦の地獄宿(ヘルス)で離れて暮らしていた夫・佐藤与茂七と再会する。
しかし、お袖に横恋慕する直助は与茂七(実は別人)を、伊右衛門は左門を殺害。
嘆く2人に伊右衛門と直助は仇を討ってやると言いくるめ、お岩は伊右衛門と復縁、お袖は直助と仮の夫婦となる。

やがて子をなしたお岩は、産後の肥立ちが悪く床に伏せってしまい、そんなお岩を次第に疎ましく思いはじめた伊右衛門。
そんな中、伊藤喜兵衛の孫・梅は伊右衛門に恋をし、伊藤喜兵衛は出世を条件に伊右衛門を婿に迎えようと計画する。


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古典がわからなくても大丈夫

古典作品で、あまり予習もしていなかったので理解できるか少し不安でしたが、幕が開ければ一気に引き込まれます。
台詞には古典の言い回しが多いものの、適度に口語やアドリブが入っていて分かりやすく、役者さんの演技力もあいまって物語にすんなり入れました。
お岩さんなのにいつまでたっても皿を数えないな…と思う程度の古典の知識しかない私でも問題なく楽しめました(※皿を数えるのは「番町皿屋敷」のお菊さんです)

怪談だとけど切ない物語

「四谷怪談」の原作は怪談ですが、今作では怖いだけではなく切ない群像劇でした。
伊右衛門は顔のいいクズだけど、平野さんが演じることで流されやすく臆病で、そのくせ情を捨てきれないような人間味があった。顔がいいので憎めないという説得力もある。
田渕さんのお岩さんは女性の哀しみや情念を表すと同時に、伊右衛門への愛情深さが感じられた。
ただ憎しみで哀れな幽霊になった訳ではなく、憎しみもあるけれど、転落していく伊右衛門を幽霊になっても見守っているようにも見えました。

後半の一場面「夢の場」で微笑み合う2人は、ほんの少し歯車が違わなければ幸せな夫婦でいられたのに…と思わずにはいれられません。
桜吹雪の中、斬られて死に絶えようとする伊右衛門を、幽霊のお岩が抱き寄せ見つめる場面はあまりにも美しく切なかったです。

男性が女性を演じる必要性

お岩さんの不遇も大概ですが、お岩の妹・お袖もあまりにも可哀そうだった。
夫・与茂七(実際には顔の皮を剥がれた別人)を殺した直助に仇討ちをしてやるからと仮の夫婦になるも貞節は守る。
しかし姉のお岩も死んだと知り、その仇討を条件に直助に身を許すが、そこへ死んだはずの与茂七が帰ってくる。
結果として不貞を働いた袖はあえて与茂七、直助二人の手にかかり死ぬ。
古典だとわかっていても、女性の立場があんまりじゃないだろうかと思う場面は多い。
しかし、演じているのは全員男性なのでその点ではいい意味でフィクションと捉えやすかったです。

そして単純に女性役の皆さんあまりにも美しかった。
特にお袖役の白瀬さん、色気に溢れた高貴な女性ぶりが素晴らしい。
今川さんのお梅は純粋でかわいく、土倉さんのお槙は明るい中年女性そのものだった。
土倉さんは女性的な仕草に加えて、中年女性と老女の2役分の「老い」も演じ分けていて凄い。さぞ足腰に負担が…なんて思ってしまった。


(タップで拡大します)

ギャグシーン

緊張感あふれるストーリー展開の中、なだぎさんと植本さんのアドリブ溢れるギャグシーンはいいスパイスでした。
北村くんがジュノンボーイネタでいじられたり、平野くんがふしぎ遊戯ネタでいじられたり。
中でも、地獄宿(ヘルス)のシーンがあまりにも大好きだ。

なだぎさん演じる娼婦が、襖一枚挟んで2人の客にお大さん(熟女)とお小さん(少女)という2人の娼婦のふりをして行ったり来たりするというシーンだが、馬鹿馬鹿しい上に長い(褒め言葉です)
アフタートークによると日に日に長く、引きとめる客2人の力も強くなっていたらしい。
なだぎさん曰く「千秋楽の頃には諦めて抱かれているかもしれない」とのこと。
千秋楽でなだぎさんが抱かれたのがどうか気になって仕方ありません。

お岩さんに祈る

少しとっつきにくい印象のあった古典、それも怪談を色鮮やかな世界として描いた今作はとてもいい演劇体験となりました。
私が行ったのは和装版でしたが、洋装版だと少し演出が違うところもあったようで、どちらも観に行けば良かったと悔やまれます。
皆さんも、気になる舞台があればぜひ劇場に足を運んでみてくださいね。

お岩さん役の田渕さんが、お岩さん役が決まってから不幸が続く…という話を聞いて、この記事を書いた自分にも何かお岩さんの呪いが来るのではと少し怯えています。
お岩さんに祈りながら、レポートを終わります。
それでは、また。

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この記事を書いた人

スルメ王子
スルメ王子
三重県出身。4コマ、エッセイなどで活動中。特撮とか映画とか2.5次元が好きな三十路腐女子。猫と寿司も好き。
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