みなさんこんにちは。Lilcono映画ライターのトキエスです。
今回ご紹介するのは、2006年に公開された青春映画『サムサッカー(原題:Thumbsucker)』。Thumbは親指、suckerは舐める行為をする人を指し、赤ん坊の時からの親指を舐める癖がやめられない17歳の少年が主人公なんです。
悩める17歳の青年を演じたのはルー・テイラー・プッチ。繊細でミステリアスな美青年というイメージを醸し出す彼は、2013年にサム・ライミのリメイクホラー『死霊のはらわた』にも出演するアメリカ俳優さんです。
ルー・テイラー・プッチの脇を固めるのはキアヌ・リーヴスやヴィンス・ヴォーンなど豪華な俳優陣。
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あらすじ
アメリカ・オレゴン州に住む17歳のジャスティン(ルー・テイラー・プッチ)は繊細で、親指をしゃぶる癖“サムサッキング”がやめられない内気な少年。彼が悩みを相談するのは歯医者のペリー(キアヌ・リーブス)。サムサッキングをやめないと、歯並びの治療も行えないことから、ペリーはジャスティンに催眠術をかけることに。
そこからジャスティンの癖は治りますが、一方で彼の不安は募り自制心が効かなくなってしまいます。
親に反発したり、授業中に勝手に飛び出してしまったりとジャスティンの行動が目立ち始めた頃、ジャスティンはADHD(注意欠陥多動性障害)という診断を受けます。
ADHDは神経発達症の一つだと言われていますが、ADHDの特徴であるじっとしていることに耐えられないという症状などは、社会的ルールを学びだす小学生に多く発症するものだと言われています。本人で完治することは難しいとも言われているようですが、抗うつ剤で簡単に治ったケースも多いのだとか。
薬で治すことが可能だと知ったジャスティンは早速薬を飲みたがりますが、「薬で治すなんて簡単なことだ」と反対する父親。しかしジャスティンの母親はこっそり薬を与えるのでした。
抗うつ剤を飲むようになってから、ジャスティンはまるで別人。活動的になり、討論クラスでは代表に選ばれます。すべてうまくいっていたと思ったジャスティンでしたが……
思春期を取り囲むのは不完全な大人たち
注目して欲しいのは、思春期で不安定なジャスティンを囲む大人たち。歯医者のペリー先生は自分の診断方法をコロコロ変えていき、父親は若い頃スポーツ選手だったという過去の栄光を手放したくないと地元のスポーツ大会に出場、母親はハリウッド俳優に夢中で、俳優とデートしたいという夢を持っている。そんな不完全な大人たちを純粋な眼差しで、かつ冷静に見つめているジャスティンは、余計混乱していくのです。不完全な大人たちを客観視すると、誰だって完璧じゃないということを実感させられるのです。
歳を重ねるごとに強くなっていく、というのは必然ではない。それに、完璧な人間なんて存在しない。
そんな世界の中で必死に生き抜いていくことを教えられる本作は、完璧じゃない自分を責めてしまっている人の癒しになることでしょう。
疲れ切ってしまった人にオススメしたい一本です。
この記事を書いた人
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神戸出身。音楽業界で様々な業務を経て、現在デザイナー&映画ライターとして活動中。
ライブやフェス、舞台等、感動を直接肌で感じれる場所が大好物。
音楽、映画、海外のお役立ち情報を随時発信中。
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