性感染症は自分だけというわけにいきません。相手があってのことですし、一度感染すると体の中にしつこく留まるものもあります。将来、母子感染する危険性も含んでいますし、それ以前に妊娠しにくい体を作ってしまうかもしれません。海外では女性は必ずかかりつけの婦人科医を持っていますし、年に1回は保険適用で婦人病の一通りの検査が受診ようになっています。日本はまだまだ「恥ずかしい」「人に知られたくない」という感情から婦人科から遠ざかりがちです。それが自分の一番大切な人にリスクを負わせることになるとしたら・・・それでも、婦人科へ行くのを拒みますか?
Lilcono(リルコノ)ライターのるぃです。
前回に引き続き、性感染症の種類を知りましょう。
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性器ヘルペス
性行為で感染し、ヘルペスウィルスは女性の場合は外陰部のみならず膀胱や子宮にも及びます。<症状>むずがゆくなったりひりひりした痛みを感じます。性器に赤いブツブツや水ぶくれ、ただれを発症します。女性の場合発症は外陰部、膣の入り口、お尻に多く見られます。初めて感染した場合には痛みや発熱を伴うことも多いといわれます。排尿が困難なほど痛みを伴うこともあります。脚の付け根のリンパが腫れて痛みを伴います。一度ヘルペスになってしまうと、ウィルスを体内に持ってしまうことになり死滅しないため再発する可能性が高くなります。再発の場合は水ぶくれや潰瘍等比較的軽い症状となります。
トリコモナス膣炎
トリコモナス原虫が膣内に入りこみ引き起こしす膣炎です。<症状>おりものに症状が出ることが多く、量が多くなったり、悪臭がしたり、黄色や黄緑色で泡立ったようなオリモノに気付けば感染しているかもしれません。そのほかにも性器にかゆみや赤み、排尿時や性行為時に痛みを感じることもあるようです。またこの感染症の恐いところは症状を現さずに何年も感染し続けるやっかいなところで、高齢者にも保有している感染者も多く、日本では高い感染率をもっています。
カンジダ
カンジダというカビの一種である真菌によって発症し、他の性感染症とは異なってストレス等の体調変化でも自然発症することがある病気です。性行為でも感染しますが、もともと体内に持っていることが多いといわれる菌なので、体調の変化で自己感染を引き起こすこともあります。<症状>外陰部が赤く腫れ、かゆみなどの症状が出ます。ヨーグルトのようなおりものが増加し、性器に痛みや熱っぽさを感じることもあります。定期的なちつ洗浄や軟膏の塗布によって治療します。
HTLV-1
ヒトT細胞白血病ウイルス1型は成人T細胞白血病・リンパ腫やHTLV-1関連脊髄症およびHTLV-1ぶどう膜炎などの疾患を引き起こします。これらの疾患はHTLV-1感染者から発症しますが大部分は無症状のことが多いのです。HTLV-1キャリアおよび関連疾患は日本では九州や沖縄地方を含む南西日本に特に多く見られ、先進国の中で唯一HTLV-1の浸淫国です。主な感染経路は母子感染、性感染および輸血の3つです。一度感染するとリンパ球の中に生き続けますが95%発症しませんが、血液や神経、目の病気を発症することがあります。<症状>足の付け根、首、脇の下等のリンパの腫れ、だるさや発熱、皮膚の発疹などの症状を発症します。人間ドックや健診でたまたま見つかることもあります。
AIDS
感染経路として性行為、血液、母子感染があります。「HIV」 とは 「エイズウイルス」 のことで、正式には 「ヒト免疫不全ウイルス」 と言い、ヒトに感染すると免疫力を低下させてしまうウイルスです。「HIV」 に感染し、治療をせずに放置すると免疫力がだんだん弱くなります。感染から数年~10年で一般的な菌やウイルスで様々な病気を発症します。その病気が「エイズ指標疾患」に指定されている病気にあてはまると「エイズを発症した」と診断されます。<症状>感染すると喉の痛みやだるさといったインフルエンザのような症状が出ます。その後症状は消え無症状期が何年も続きます。この間にも免疫は徐々に弱くなります。やがて長く続く下痢や寝汗、特に原因となるようなことがないのに様々な病気の症状を発症します。それがエイズ指標にあてはまる疾患であればエイズの発症となります。
梅毒
かつて「死の病」と言われた性感染症。皮ふや粘膜の小さな傷から、トレポネーマという病原菌が侵入し発症します。約90年ほど前にペニシリンが発見されたことにより治癒する病気になりましたが今でも毎年感染者が報告されています。<症状>第一期では梅毒が侵入した部分に痛みの無い赤いしこりができます。そしてリンパ節が腫れます。ただしこれも痛みを伴わないため気付かないことも多いのです。
梅毒がリンパや血液を通り全身に症状が出るようになるのが3ヶ月以降の第二期です。第二期ではバラ疹と呼ばれる薄赤、暗めの赤い発疹が出ます。痛みもかゆみもなく自然に消えます。その数週間後、梅毒性丘疹と呼ばれる赤茶色の盛り上がったブツブツができます。それが女性器や乳房下など湿った部位に出来ると扁平コンジローマといって表面がただれて白く盛り上がり分泌物を出します。また脱毛が発生し、時間経過と共に頭皮全体に広がります。
こちらで症状の画像を確認できます。--> ある産婦人科医のひとりごと
第二期の症状が緩和すると潜伏期間に入り、3年程で晩期に入りますが先進国では晩期梅毒を発症する人は極めて少なくなっているといいます。それはその他の病気治療などで投与された抗生物質などが梅毒に効いていたりということも挙げられるようです。が、晩期になると命に関わる深刻な事態に及ぶので治療しておくことが重要です。晩期にはゴム腫と呼ばれる硬いコブ状の腫瘍が皮膚・骨・内臓にまで及び体の組織を破壊します。他にも皮膚に潰瘍や血管の炎症や神経へのダメージなど重篤な症状となります。先進国である日本ではほとんど発症ケースがないですが、第四期になると感染から10年以上経過しており、歩行困難や大動脈瘤、脳梅毒と呼ばれる脳障害も発生します。
性感染症に関して研究している機関のサイトがこちらで、とても丁寧に説明されています。--> STD研究所
2回に渡ってお届けした“性感染症を知ろう”ですが、ちょっと怖くなりましたか?それくらいの危機感を持って性行為というものを改めて考えてみてください。性行為は人として生きていく中で恥ずかしい行為ではなく、とても重要で素晴らしい行為のはずです。婦人科で婦人病を診てくれる先生方は、赤ちゃんを取り上げる先生方でもあります。恐れることはありません。親や友達に言えない恥ずかしいなと思うことも婦人科の先生にとっては専門分野です。少しでも下半身に違和感を覚えたら放置しないで婦人科を検診する勇気を持ちましょう。
この記事を書いた人
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英語科卒。百貨店と貿易物流会社を経て、カナダ・バンクーバーにてマーケティングとギャラリーマネージャーを経験。
帰国後、某大手企業にて翻訳/通訳/事務を通して日本と米国を行き来。
Foodieとしてレストランやカフェに通うと共にアラサーの体をいたわりホームクッキングにも精を出している。
安くて良いものを探す関西人魂は海外でも健在。海外から様々な切り口でライフスタイルを執筆。
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